2009.08.26

撮影: 永禮賢 / インタビュー・構成: daily vitamins編集部


生き方PRO インタビュー 第1回 やなせたかしさん 

生き方のPROに聞くインタビューシリーズの始まりです! 生き方のPROって何? それはインタビューを読めばわかります。PROとしか! ( 第1回から読む )

2.仕事をするうえで一番大切なこと

—— やなせさんは仕事をするとき、何を重視しているんですか?
アンパンマンの精神だよなぁ
やなせ:本を出す時はいつもそうなんだけれど、いいものができたかどうかより、売れたかどうかのほうがむしろ心配なんです。ちゃんと利益が出て会社が儲かる、それによって僕が喜ぶ、読んだ人も喜ぶ。仕事をする以上、みんながいいほうがいいんです。

まず考えなきゃいけないのは、それで利益が上がるのか。だから、わがままなことはやらない。僕の本を出したいという人にも「止めたほうがいいんじゃないかな、ちょっと売れそうにもないから」と言うことがときどきあるんです。

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何かをやるときは「ある程度の利益を生む」ということを念頭に置いてやらないとダメ。国や自治体も、いろんなハコモノを作るでしょう。今度は「アニメの殿堂を作る」とか言ってますけど、要するに国民の税金を使うわけでしょ? 勝手なものを作って、赤字出してねえ。

東京都の美術館なんて25億の赤字ですし、地方にもすっごい立派なハコモノがありますから。田んぼの真ん中に、5000人も入るような規模のものを作っていますよ。「赤字でしょ?」と訊くと、「赤字です」と。

どんなに意義があるものでも、税金をそんなふうに使ってしまうのはよくない。それよりも、入る人員に見合うキャパのもの、つまり身の丈にあったものを作ればいいんです。

ハコモノを楽しむ方法あります
—— やなせさんが設立にかかわった「アンパンマンミュージアム」は、高知県香北町という地方にあるのに、おおぜいのお客さんが詰め掛けていますよね。
やなせ:「人が喜ぶかどうか」が何よりも大事だと思うんです。楽しければ人は来ますし、ある程度の利益が上がる。そうしてある程度の人が来たならば、そこで初めて拡張していけばいいわけです。初めからやたらにバカでかい立派すぎるものを作ると、あとで困るわけ。

(つづく)

自ら動きまくってんだよねー

註 アンパンマンミュージアム

正式名称は「香美市立やなせたかし記念館 アンパンマンミュージアム」。1996年に開館し、当初の年間目標だった10万人をわずか49日で達成、初年度の決算は1億438万円の黒字を記録した。これによって静かだった香北町には多くの観光客が訪れるようになる。98年にはやなせさん本人が私財を投じて別館「詩とメルヘン絵本館」を増設し、町に寄贈した。

http://www.anpanman-museum.net/

撮影: 永禮賢 / インタビュー・構成 : daily vitamins編集部

        
やなせたかしプロフィール

マンガ家。1919年2月2日、高知県生まれ。東京田辺製薬の図案部、高知新聞社の記者職、三越の宣伝部を経てフリーに。シナリオ執筆や作詞、イベントの構成、アニメの美術監督、雑誌編集長など多彩な仕事をこなしながらマンガ家・絵本作家としての活動を続け、『アンパンマン』で一躍時の人となる。現在までに刊行している絵本の数は400冊以上。アニメ「それいけ!アンパンマン」は 2009年8月28日の放映をもって1000回を記録する。社団法人日本漫画家協会の理事長でもある。